院長挨拶

新年のご挨拶

都城医療センター院長
吉住秀之

 あけましておめでとうございます。

 挨拶というのは、定型的なものなので、一日の最初の挨拶であれば、早朝でなくても「おはようございます」になるように、新年の最初の挨拶は、「あけましておめでとうございます」になるのですが、昨年初めから世界を襲った新型コロナウイルスのパンデミックの禍中にあって迎える令和三年の新年は、めでたさよりも不安のほうが大きくて、元旦の挨拶を交わしながらも、少しそぐわないなという感じをもたれる方もたくさんいらっしゃることと思います。

 コロナパンデミックから私たちの日常は大きく変わってしまいました。昨年12月15日現在で、日本のコロナウイルス感染症(COVID-19)延患者数は18万4732人に上っています。当院も国立病院機構の一員として、昨年9月からコロナウイルス感染病床を準備して市の感染対策に協力しています。普段から行っていた感染予防はさらに厳格になり、当院を利用していただく患者ならびに家族の皆さんについても、来院時の検温、マスクの着用をはじめ、入院患者の面会制限など多々ご負担をおかけすることになりました。こうした予防対策をしなければならないのは理由があります。2002年に発生したSARSのときは、症状が出た人が感染を広めていたので、即座の隔離対応が奏功したのですが、COVID-19は、無症状者からも次々に感染するという厄介な病気だからです。知らない間にかかってしまい、知らない間にうつしてしまうおそれのある病気ということをご理解ください。

 感染予防は大切ですが、お互いに距離をとらざるを得なくなったり、対面して話をする機会が減ったりしています。本来ならマスクをせずに語り合い、親しい仲間どうしで食事を楽しむという光景も減っています。困ったときに寄り添い助け合うという人間の基本的関係が保ちづらくなってきたことは、気がかりな点です。昨年緊急事態宣言が出ていた時期にイタリア人の作家パオロ・ジョルダーノの『コロナ時代の僕ら』という本を読みました。彼はコロナウイルスのパンデミックを体験して、「感染症とは、僕らのさまざまな関係を侵す病だ」と述べています。しかしそれでも今は、高齢者を初めとする感染弱者を守るために、無用なリスクは侵すべきではないと警告しています。

 マスクに手洗いなど一般的な感染予防対策をすることで、気管支喘息の入院や手足口病などの小児の感染症は昨年激減しました。決してなにもかも悪いことばかりではありません。百年に一度といわれるこの感染症を契機に、それぞれが工夫して新しい生活様式を創り出して、それに適応していくことが今求められています。

 当院は、都城市の医療を守るという覚悟で感染管理に努めつつ、当院に課された使命を果たしていきます。制約も多く苦しいところですが、希望をもって進んでいきましょう。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 

更新日:2021.01.05